ショーが終わると、いよいよ「ご対面〜!」だ。

が、一般のお客さんも一斉に帰ろうとするわけで、
なかなか身動きがつかない。

「素敵なお席」でも書いたが、私の席は2階席で
しかも集合場所のほぼ真反対の位置にある。

果てしない旅。

参加者の中で、私が一番、遠いのだ。

 

「アリーナを突っ切って行けば速いんだけどな・・・」

と思ったが、アリーナには直接出られないし、
帰り客と一緒にとにかく廊下に出、そこから下るしかない。
 

これが、思ったより大変だった。

 

皆は直近の出口へ向かっているが、
私は一番遠い場所へ向かっているのだから、
人の波に逆らうことになる。

結果、ものすごく時間を食ってしまった。

 

焦った私は勇気を出し、一番近くにいたスタッフに、
ツアーの参加者で、集合場所に行きたい旨を伝えたが、
 

「すみません、私では分かりません・・・」
 


と、あっさり却下されてしまった。仕方ないので、
 

「とにかく北西に行きたいんですけど・・・」
(武道館ではブロックが方角名になっている)
 

とさらに言ってみたが、
 

「あっちの方角です」
 

と言うだけで、誘導はしてくれなかった。

どっちの方角だろうが、廊下は一つなので、
1周回れば、どこでもたどり着ける・・・。

本当に方角を聞いたんじゃないよ・・・と思ったが、
これ以上何か言う勇気もなく、礼を言って先を急いだ。

 

とりあえず、「北西」と書かれた看板の真下に来た。
この辺に居りゃ、知った顔が見えるかな、と思い、
しばし、ぼーっとしてしまう。

が、みんなが居る場所はほんの数メートル先だった。

解散時は人がおらず、その場所からもすぐ
皆が集まっていることが分かったはずだが、この時は
人がごった返していて、その上私は背が小さすぎ、
自分からも見えないし、みんなからも見えなかった・・・。

 

しばらくして、若い黒スーツスタッフが、

「ツアーの方ですよね・・・?」

と探しに来てくれた。

この時私は暢気にも、あ、場所ずれてた?
くらいに思っていた。

ほんの数メートルなので、すぐ場所には着いた。
そしたら誘導してくれたお兄さんが、

最後の方、いらっしゃいました〜」

と高らかに宣言した。

 

えっ!!私が最後??ってことは、すごく待たせた??

宣言と同時に、もうツアーは動き始めてしまったので、
皆さんに詫びるチャンスをなんとなく失った。

よく考えたら私一人席が遠かったのだから、
当然予測される事態なのに、その時はまさか自分が
最後とは思っていなかったのだ・・・。
 

思いっきり、血の気が引いた。

「待たせた」ということ自体も申し訳ないし、
それに対して即座にお詫びを言えなかったことにも、
情けなくなった。
 

こんな時、ちゃんと言えたらいいのに・・・。
恐怖症がこういう肝心な時に出てきちゃって、
出すべき言葉が喉に詰まって、出てこない。

 

心の中で皆さんに詫びつつ、なるべく心を落ち着けながら、
皆さんの後を、小走りについていった。

同じ日に参加された方がもし見ていらしたら、
遅ればせながら、心よりお詫びを申しあげたい。

 

そして、お礼を申しあげたい。

私が到着した時、列の一番後ろに並んでいたご婦人が、
私を見るなり、

「あ〜!よかった!!」

と、嬉しそうに言って下さったことに。

全く知らない方なのに、待たせた私を怒るでもなく、
心底心配し、着いたことを喜んで下さったのだ。

このことでどんなに救われた心地がし、
温かい気持ちになったか、言葉で表すことができない。

今でも有り難い気持ちでいっぱいだ。